平成20年に建築基準法第12条の改正により、
マンションなどの特定建築物で外壁の全面打診が必要となりました。
今日は外壁の全面打診についてまとめてみました。
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調査の対象は?
全てのマンションの全ての外壁が対象というわけではありません。
特定行政庁にて定める特定建築物に該当するマンションが対象です。
例えば東京都では下記のマンションが対象となります。
このように特定行政庁にて定めた
定期報告が必要な特定建築物の場合は、
3年に1度一級建築士、二級建築士などの
資格を有する者に検査をさせて
特定行政庁に報告する義務があります。
その調査の中で外壁タイル等の劣化の調査として
手の届く範囲を打診、その他を目視で調査し、
異常があれば全面打診等により
調査することが定められておりますが、
さらに竣工、外壁改修等から10年経てから
最初の調査の際に全面打診等により調査が義務化されました。
ただし、10年目の年度から3年以内に
外壁改修等の実施が計画されている場合は、
それまで先送りにすることを可能としていますので、
特定行政庁が定める特定建築物で竣工
または前回の大規模修繕工事から13年以内に
大規模修繕工事の実施が計画されていないマンションが対象となります。
では、ここからは全面打診の方法をご紹介します。
調査方法①打診調査
外壁のタイルやモルタルに打診棒を当てて、
先端を転がす音や感触により浮き等の診断、
調査をします。
高所などで手の届かない範囲は、
高所作業車やロープブランコ、
ゴンドラなどを使用して全面の調査を行います。
調査方法②赤外線調査
赤外線サーモグラフィカメラを用いて建物の外壁を撮影し、
外壁タイルなどの剥離部分と健全な部分の温度差を解析して
劣化状況を診断します。
ゴンドラ仮設なども不要となるため、
安価なコストで調査が可能となりますが、
撮影するにはマンションの外壁面が
正確に撮影できる環境が必要となりますので、
他の建物と隣接していて撮影できない場合は
打診調査等との複合調査が必要となります。
調査方法③ドローン外壁調査
赤外線サーモグラフィカメラを搭載した
ドローンによる空撮赤外線調査です。
調査方法は赤外線カメラと同様となります。
ブランコや足場などのコストがかかりません。
また、赤外線調査の場合は、
撮影できる角度が決まっているため
タワーマンションなどの場合は様々な
ポイントからの撮影が必要となりますが、
ドローンの場合は撮影ポイントを
気にすることなく調査ができます。
まとめ
今回は、タイルの全面打診調査をまとめてみました。
大規模修繕工事が今までの12年周期から
長寿命の仕様による大規模修繕工事を実施することにより
16~18年といった長周期化に様々な企業が取り組んでいます。
これにより建築基準法12条で定めるタイル等外壁の
全面打診の実施が増加していくことと思われます。
また、以前は信頼性に欠けるとされていた赤外線調査も
精度が向上したことやコストの削減が可能となることから
ニーズが増加傾向にあります。
マンションの立地や仕上げ材の仕様によって
最適、最安な調査方法は異なると思いますので
複数の調査方法による見積もりを取得し
検討してみてはいかがでしょうか。
では、今回は以上となります。
よりよいマンションライフの一助になれば幸いです。
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